自己免疫疾患モデルマウスMRL/lprの発症・進展・予後における非受容体チロシン燐酸化酵素Fynの役割 : fyn欠失による発症抑制効果を中心に : 第1報:fyn欠失MRL/lprマウスと腎障害
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概要
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srcファミリー細胞性癌遺伝子fynの産物FynのMRL/lprにおける意義を解析する為, fyn欠失(fyn^z) MRL/lprマウスを用いて広範な実験的研究に取り組んだ。本報ではMRL/lprとMRL/lpr-fyn^zの腎障害について解析し, Fyn欠損の影響を検討した。MRL//lpr-fyn^zは,3.5か月齢で尿蛋白陰性,5か月齢で軽度蛋白尿を認め,血清クレアチニン値は上記2点で正常であった。組織所見上は3.5か月齢で殆ど異常を認めず,5か月齢では軽度びまん性増殖性糸球体腎炎(DPGN)と間質に少量のリンパ球集叢形成を認めた。MRL/lprは,3.5か月齢で軽度蛋白尿,5か月で高度蛋白尿を認め,血清クレアチニン値は3.5か月齢で正常,5か月齢で有意の上昇を認めた。組織所見上は3.5か月齢で軽度DPGNと少量のリンパ球集叢形成を認め,5か月齢で中等度以上のDPGN,細動脈のフィブリノイド壊死像, IgG_3陽性形質細胞を多数含む間質の沿血管性の高度リンパ球集叢形成を認めた。これらの結果から, Fyn欠損による免疫複合体性腎炎の発症・進展の抑制が推定された。
- 北里大学の論文
- 1995-02-28
著者
-
小林 豊
北里大学 医学部腎臓内科
-
小林 豊
医療法人三友会あけぼの病院腎臓内科
-
小林 豊
北里大学医学部・内科学
-
黒川 昭
北里大学医学部・内科学
-
片桐 拓也
北里研究所・基礎研究所免疫第2室
-
高橋 威夫
北里研・基礎研・分子免疫
-
高橋 威夫
北里研究所・基礎研究所免疫第2室
-
相沢 慎一
熊本大学医学部・遺伝発生医学研究施設
-
Aizawa S
熊本大学医学部附属遺伝発生医学研究施設
-
小林 豊
北里大学医学部
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