脳卒中患者における発症前の降圧薬服用状況と予後との関係

概要

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1984年から1988年までに北里大学病院に入院した脳出血365例と非塞栓性脳梗塞396例を対象に,発症前の降圧薬の服用が,病巣の部位や広がり,予後にどのような影響を及ぼしているかについて検討した。高血圧性脳出血345例のうち服用群は僅かに26%であった。血腫の大きさをみると,非服用群は小血腫(<1.5cm) 9%,中血腫(1.5〜3.5cm) 40%,大血腫(>=3.5cm)51%であるのに対し,服用群では,それぞれ18%,42%,40%であり,有意に血腫の小さい例が多かった。降圧薬服用の有無と予後について検討すると,非服用群では自立28%,要介助26%,寝たきり14%,死亡33%であるのに対し,服用群ではそれぞれ46%,20%,11%, 23%と有意に死亡例が少なかった。非塞栓性脳梗塞においては,降圧薬の服用による明らかな影響を見い出せなかった。脳出血例においては,服用群の予後が良いことが示唆された。この事から,降圧薬による血圧の管理が重要であると考えた。
北里大学の論文
1990-12-31