膵全剔犬における膵ラ氏島脾内自家移植および移植ラ氏島B細胞機能について

概要

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雑種成犬に膵組織片脾内自家移植を試み,その可能性を探るとともに移植ラ氏島機能についても検討した。雑種成犬6頭に膵全摘出術を施行。摘出膵を4℃ Hank液中で細切。collagenase処理後脾静脈に留置したカテーテルから脾実質内に自家移植した。移植後の血糖値,血漿IRI, IRGを測定するとともにIVGTT, Tolbutamide試験を行ない移植ラ氏島機能を調べた。対照として膵摘出犬を作製した。移植後の生存日数は平均49±6.5日(M±SE)と対照群に比較し有意に延長し,また,移植後21〜65日の脾実質内にAF染色に染まるラ氏島B細胞を認めた。6頭のうち1頭は移植後も正常空腹時血糖を維持した。しかし,IVGTT, Tolbutamide試験に対し,血糖消失率の低下とともに初期のインスリン分泌障害を認めた。他の5頭は移植6日後には365±25mg(M±SE)の高血糖に陥った。この群ではインスリンの基礎分泌は認められたもののIVGTT, Tolbutamide試験には反応しなかった。この方法では延命効果は認められたものの実験糖尿病を完治するには至らなかった。すでに臨床報告例があるがさらに基礎的検討が必要と考えられる。
北里大学の論文
1980-04-30