隠喩・換喩・提喩 : 言語表現の考察
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概要
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日常的な言語コミュニケーションに広く, しかも深く浸透している比喩的表現は, 言語表現の可能性を考える上で, なくてはならない重要な要素として存在している。その重要性を明らかにする意味で, 本稿では, 比喩の内, とくに隠喩, 換喩, 提喩の三つに焦点を合わせて検討することにする。具体的には, 「1. はじめに」のあとの「2. 言語表現全般の中での隠喩・換喩・提喩の位置付け」では, 「2-1. 字義性と比喩性」として, 転義説, 逸脱説などを調べ, 「2-2. 言われることと含意されること」として, 実際に口に出して言われる部分, それに実際には言葉によって表面に出ない部分に区別した場合, 隠喩, 換喩, 提喩のそれぞれがどちらに属するのかを調べ, 「3. 隠喩・換喩・提喩の存在意義」では, 「3-1. 隠喩の存在意義」と「3-2. 換喩と提喩の存在意義」として, 具体例を挙げながら, 隠喩, 換喩, 提喩のそれぞれの特徴を調べ, 言語表現全般に共通して言える的確さと効率性に基づく表現の経済性が, 比喩にも当てはまることをごく簡単に示し, 「4. 最後に」で終えるという検討順序である。なお, 本稿における狙いは, 説得性, 美的装飾性などの問題としてではなく, 比喩を表現の経済性の問題として捉えていくことである。ただし, 表現の経済性の問題をそれ自体として本格的に検討するのではなく, それへの橋渡し的な検討を行なうことで終えることにする。
- 1999-03-15
著者
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