アイロニー : 伝統的なアプローチと最近のアプローチ (1)
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概要
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アイロニーは, 私たちが日常的に使用している表現方法の一つであり, 古代ギリシャ時代から現在に至るまで, 継続的に使用されてきた表現方法であって, レトリックにおいて重要な位置を占めている。一見すると, 「反語」という日本語訳に示されているように, 言ったことの反対のことを意味するものであると簡単に片付けられるように思われるが, 果たしてそうなのであろうか。最近, 「アイロニー」という日本語訳がよく使われているが, 何か意味があるのであろうか。「皮肉」という日本語訳は, どうなのであろうか。単純に見えるアイロニーの定義は, 調べてみると, 決して単純なものではないことに気が付く。そこで, アイロニーに関する定義を明らかにする意味で, 今までになされてきたアプローチを幾つか取り上げて, 検討していくことにする。なお, 本稿では, 言葉によるアイロニーに限定して検討していくことにする。具体的には, 「1. はじめに」に続く「2. 伝統的なアプローチ」では, 「2-1. 最近の文献に見られるアイロニー」において, 代表的な語用論の概説書, 入門書などに見られるアイロニーの定義を調べ, 「2-2. アイロニーの古典的定義」において, 古代ギリシャ・ローマ時代に見られる古典的定義の多面性を調べ, 「2-3. アイロニーの伝統的定義」において, 「2-3-1. Grice と Searle の定義」として, 反対という概念による定義に関連して, よく引き合いに出されるGrice の定義と Searle の定義を調べ, 「2-3-2. 反対という概念による定義への批判」として, 字義どおりの意味などに関連して, 二・三の問題を取り上げ, 反対という概念による定義への批判を調べ, 更に「3. 最近のアプローチ」では, 「3-1. アイロニーの特徴」において, 話し手の態度と目的などを調べ, 「3-2. アイロニーの種類」において, 非字義的アイロニーと字義的アイロニーへの分類法の意味について調べ, 「3-3. 最近のアイロニーの定義」において, Sperber &Wilson のエコーという概念による定義を調べ, 「4. おわりに」で終えるという検討順序である。なお, 今回は, 前半部分のみを発表し, 後半部分は次号に回すことにする
- 2000-03-15
著者
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