関連性に関する理論 : 「関連性」概念に対する Grice, Dascal, Sperber & Wilson の取組み方
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概要
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「関連性」という言葉は, 日々の日常的な会話のみならず, 哲学, 言語学などの専門的な領域においても頻繁に使用されるが, その厳密な定義となると, 必ずしも明確にはされていないのである。関連性に関する議論は, 様々な形で行なわれてきたし, また現在でも盛んに行なわれている。その議論の中には, 関連性の定義に対して否定的な立場を取る研究者もいれば, 肯定的な立場を取る研究者もいるが, 今回は関連性の問題を含意との関係で積極的に取り上げる研究者の主張を具体的に検討することにする。なお, 関連性そのものに対する取組み方に焦点を合わせて検討することにし, 含意自体の検討は必要最小限にすることにする。具体的に検討する対象は, Grice の取組み方, そしてそれに対する批判としての Dascal の取組み方と Sperber と Wilson の取組み方である。そして, Grice→Dascal→Sperber・Wilson の過程を, 会話の格率の単なる一部としての関連性の格率→会話の上位格率としての関連性の格率→関連性の原則という具合に, 関連性の問題に対する捉え方の変化として見ていくことにする。その過程は, あくまでも関連性に限定して言えば, 批判・修正・発展の過程と言えるかもしれないが, 含意などの他の様々な要素を加えて考えていくと, 必ずしもそう単純には言えないであろう。その点に関しては, 今回は取り上げないことにする。検討の順序は, 「1はじめに」, 「2 Grice の取組み方」, 「2.1協調の原則と会話の格率」, 「2.2関連性の格率」, 「3Grice の取組み方に対する批判と新たな取組み方」, 「3.1 Dascalの取組み方」, 「3.2 Sperber と Wilson の取組み方」, 「4最後に」となる。
- 1997-03-15
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