指示理論における確定記述と話し手の指示の意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
"Reference and Definite Descriptions" (1966) の中でドネランによって主張された確定記述における指示的使用と属性的使用の区別という考えは, それ以前のストローソンの "On Referring" (1950) の批判を通して, リンスキーの "Reference and Referents" (1963) を手掛かりとしながら浮かび上がったものであるが, またそれはそれ以後のクリプキの "Speaker's Reference and Semantic Reference" (1977) とサールの "Referential and Attributive" (1979) において批判対象となったものでもある。その意味から言うと, ドネランの主張を中心に, 彼が批判対象としたストローソン, リンスキーの両主張そして彼を批判対象としたクリプキ, サールの両主張との比較検討を行なうことは, 単にドネランの主張のみならず, ストローソン, リンスキー, クリプキ, サールのそれぞれの主張をも明確にさせる結果となり, また各主張の比較を言語行為論的・語用論的視点から検討することにより, それぞれの主張における確定記述と話し手の指示の関係をより一層明確にさせ, 最終的にストローソン-リンスキー-ドネラン-クリプキ-サールの過程が話し手の指示に関する一つの歴史であることを浮き彫りにさせることにもつながるのである。
- 1992-03-20
著者
関連論文
- 大学レベルにおける基本的なコミュニケーション能力育成
- 特定文化から見るコミュニケーション-所属文化と共有文化による人間関係の分析-
- 「拡充」に関する語用論的解釈:指示物付与・曖昧性除去と含意からの区別
- アイロニー : 伝統的なアプローチと最近のアプローチ (2)
- アイロニー : 伝統的なアプローチと最近のアプローチ (1)
- 嘘の基準-話し手側からの視点-
- 関連性に関する理論 : 「関連性」概念に対する Grice, Dascal, Sperber & Wilson の取組み方
- 実学という名の非実学、そして非実学という名の実学 -大学教育編-
- 大学生の日本語ディベート能力の開発
- MISCELLANEOUS 日本語表現能力に関する実践的教育-演習「プロゼミII」の実態調査-
- 真実と表現-レトリックとコミュニケーションを中心にして-
- 多文化コミュニケーション論の基本的特徴について
- 隠喩理論 : サールとレイコフ
- 隠喩・換喩・提喩 : 言語表現の考察
- レトリック(言語表現技術論)の実践教育
- 近代日本における多文化性とコミュニケーション
- 「前提」概念に関するストローソンの定義
- 指示理論における確定記述と話し手の指示の意義
- 現代レトリックの流れ(新「古典」の研究)
- 発話の類型と動詞の種類 : 発語内行為に関するオースティンとサールの分類法
- 間接的言語行為の可能性
- 指標詞と指示詞 : 指示と意味の関係に対するフレーゲ的説明と反フレーゲ的説明
- 固有名の指示 : 固有名詞に関する記述理論と因果理論の相違
- 会話含意算出の為の推論過程 : グライス的推論形式に対する評価
- レトリック(言語表現技術論)の実践教育
- 「言葉は力なり」の解釈-言語行為の力とその他の力-
- 句読点の方法論的分析-読点をどこに、なぜ打つのか-
- 嘘の根拠と領域-個人レベルと組織レベル-
- 喚喩的思考と提喩的思考に基づく行動様式
- 近代日本における多文化性とコミュニケーション
- 話し言葉vs 書き言葉 : アルキダマス「ソフィストについて」-翻訳と解説-