会話含意算出の為の推論過程 : グライス的推論形式に対する評価
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概要
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論文 "Logic and Conversation" (1975) で展開されたグライスの含意理論は, 会話において含意が重要な部分を成すものとして存在することを明確にし, 理論化した点で高い評価を得, 哲学そして言語学の分野において確固たる地位を占めることになったが, 彼の方法に対する評価に関しては, 意見が分かれるところである。話し手の伝達意図を聞き手が把握して初めてコミュニケーションが成立することになるが, その伝達意図の把握は, 言語的意味の理解だけによって話し手の発話を直接的に理解できる場合と, 含意が含まれている為, 発話を推論によって解釈するしかない場合とでは異なり, とくに推論に基づく発話解釈を考える際, 具体的にどのような推論形式に基づいて発話を解釈し, 伝達意図を把握するかが問題となる。この点で, グライス的推論形式に対して肯定的立場を取る経験的・帰納的推論形式擁護論者と否定的立場を取る論理的・演繹的推論形式擁護論者が対立する。そして, 会話の構造的解明の為には, これら対立する推論形式の検討・評価が絶対不可欠である。そこで, 発話解釈の問題点, グライス的推論形式, 帰納的推論形式, 演繹的推論形式, 帰納的推論形式と演繹的推論形式に関する評価という順序で, より確実で, より確定的な発話解釈方法になりえるのは, どちらの推論形式であるかを調べてみることにする。
- 跡見学園女子大学の論文
- 1990-03-20
著者
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