固有名の指示 : 固有名詞に関する記述理論と因果理論の相違
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概要
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固有名の指示に関する代表的な理論とされている記述理論と因果理論の特徴と相違を検討することにより, 具体的には Frege の記述理論, Searle の記述理論, そして Kripke の因果理論の比較検討を通して, 固有名が抱える問題を浮き彫りにし, 固有名に対する意味と指示の関係を明確にすることが, 固有名の指示を理解する上で必要となる。ある特定の, 単一の性質あるいは確定記述が, 固有名の意味を成すと同時に, 固有名の指示を決定するとする Frege, その Frege に矛盾を感じ, 「群れ」概念の導入によって矛盾を取り除き, 一群の性質あるいは確定記述が, 厳密な形での固有名の意味を提供することはできないが, 固有名の指示を決定するとする Searle, その両者に限界を感じ, 「性質あるいは確定記述」の代わりに「伝達の因果連鎖」という概念を導入することで, 伝達の因果連鎖によって固有名の指示が決定されるとする Kripke という具合に, Frege より一歩先に進めようとする Searle, その Searle より更に一歩先に進めようとする Kripke の姿が見られる。そうした発展過程を分析することで, 三者の考え方に共通して適用できる論理構造が見出される。それがX (x^1, x^2, x^3, …x^n)→固有名の指示という式である。その式は, 三者の理論の特徴と相違を説明する為の有効な手段になりえるものであると言える。以上の点を調べるのが, 本稿の主目的である。
- 跡見学園女子大学の論文
- 1993-03-20
著者
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