ホウレンソウの雌性間性の発現に及ぼす抽だい後の日長の影響
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概要
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短日期に自殖種子を採種栽培することで,ホウレンソウの育種年限の短縮を図るため,雌性間性株の自殖後代を供試して,雌性間性の発現に及ぼす抽だい後の日長の影響を調査した.人工気象器における実験を通して温度を20℃に保ち,播種後3週間,140μmol・m^<-2>・s^<-1> PPFDの16時間日長下においた後,日長処理を開始した.同光強度の8時間日長下では,花茎伸長および開花が著しく抑制され,雌性間性株の割合も,12時間および16時間日長区の約1/2であった,間性花着生節数は8時間日長下で極めて少なく,雌性間性株における間性花着生頻度は,5,12および16時間日長区でそれぞれ30,39および63%であった.8時間日長の光強度を140から28μmol・m^<-2>・s^<-1>PPFDにしても,花茎ははとんど伸長せず,46%の株は開花に至らなかった.280μmol・m^<-2>・s^<-1>PPFDの8時間日長を,さらに8時間10μmol・m^<-2>・s^<-1>PPFDの白熱灯を照射することにより,16時間日長に延長した区では,140μmol・m^<-2>・s^<-1>PPFDの16時間日長区よりも花茎は長くなり,全ての株が開花した.雌性間性株の割合,間性花着生頻度は,両16時間日長区間で差がなかった.280μmol・m^<-2>・s^<-1>PPFDの8時間日長後,16時間の日長延長を行い24時間日長とすると,8時間の日長延長を行い16時間日長とした区と比較して花茎は長くなったが,間性花着生頻度は両区間で差がなかった.以上のように,抽だい後のホウレンソウ雌性間性の発現は,短日で抑制され,日長延長により16時間日長とすることで著しく促進されたが,24時間日長まで延長しても,それ以上は促進されなかった.したがって,短日期に自殖種子を効率よく採種するには,日長延長により16時間程度の日長とすることが重要であると考えられた.
- 園芸学会の論文
- 2006-03-15
著者
-
村上 賢治
岡山大 大学院自然科学研究科
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畑 直樹
大阪大学大学院工学研究科
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畑 直樹
大阪大院工学研究科
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畑 直樹
岡山大学大学院自然科学研究科
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村上 賢治
岡山大学農学部
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吉田 裕一
岡山大学農学部
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桝田 正治
岡山大学農学部
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吉田 裕一
岡山大農学部
-
桝田 正治
岡山大学大学院自然科学研究科
-
桝田 正治
岡山大 農
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