ホウレンソウの自殖種子集団における雌性間性の発現に及ぼす温度の影響

概要

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ホウレンソウの自殖種子を効率よく獲得することを目的として, 1株あたりの採種数がそれぞれ529, 359, 186(粒/株)と異なる3つのホウレンソウの雌性間性株の自殖種子を供試し, 雌性間性の発現に及ぼす温度の影響を調査した.これらの種子集団をP-1, P-2, P-3とし, 無加温のガラス室において, 12月から3月まで1か月ごとに播種して栽培したところ, いずれの播種期においても, 雌性間性株の割合はP-1で最大, P-3で最小となった.種子集団P-1においては, 雌性間性株の割合が12月播種で33%, これより播種期が遅くなるにつれて徐々に高くなり, 3月播種では100%となった.同様の結果が, 16時間日長, 120μmol・m^<-2>・s^<-1> PPFDで温度を15, 20, 25℃とした人工気象器内で栽培しても得られた.しかしながら, いずれの種子集団においても, 雌性間性株の間性花着生頻度は温度の影響を強く受け, 20℃で最大, 15℃で最小となった.25℃では茎頂付近まで間性花を着生したが, 抽だいの遅延や花茎伸長の抑制により, 間性花の着生節数は20℃のそれ以下となった.20℃で18日間, 抽だいを誘導した後に25℃に移すと, 草丈は低くなったが, これは栽培管理上, 有効であると考えられた.以上の結果から, ホウレンソウの自殖種子を効率よく獲得するには, 雌性間性を強く発現する系統を選抜し, それを20℃で抽だい誘導後, 25℃程度の温度下で栽培することが望ましいと考えられた.
園芸学会の論文
2005-05-15

ホウレンソウの自殖種子集団における雌性間性の発現に及ぼす温度の影響

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