化学的組成の明らかな培地で培養したウシ体外受精卵の発育に及ぼすグルタミン, グリシンおよびタウリンの影響

概要

論文の詳細を見る
化学的組成の明らかな限定培地を用いて, ウシ体外成熟・体外受精卵の発育に及ぼすグルタミン, グリシンおよびタウリンの影響を調べた.ウシ体外受精卵は媒精18時間後に卵丘細胞を取り除いたのち, 39°C, 5%の酸素を含む気相下で4日あるいは6日間培養し, 桑実胚あるいは胚盤胞への発育を調べた.基礎培地には, 20種のアミノ酸(1mMのグルタミン, その他の必須アミノ酸および非必須アミノ酸), インスリンおよびPVAを添加した修正合成卵管液を用いた.その結果, 基礎培地から1mMのグルタミンを除去しても受精卵の発育成績に影響は認められなかった.また, 受精卵を4日間培養しただけでは, グリシンおよびタウリンの添加による受精卵の発育に対する著明な影響は認められなかった.しかし, 受精卵を6日間培養した場合, グリシンあるいはタウリンの濃度により胚盤胞への発育成績には差異が認められた(p<0.05).すなわち, 胚盤胞への発育率は, 5mMのグリシンあるいは2および10mMのタウリン添加により有意に改善された(p<0.05).また, 10mMのグリシン添加では, 胚盤胞への発育率は改善されないが, 胚盤胞の平均細胞数が増加した(p<0.001).以上の成績から, グリシンとタウリンは限定培地内におけるウシ体外受精卵の胚盤胞への発育成績を改善することが明らかになった.
社団法人日本獣医学会の論文
1998-04-25

化学的組成の明らかな培地で培養したウシ体外受精卵の発育に及ぼすグルタミン, グリシンおよびタウリンの影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク