イネとタイヌビエの混植条件下における生産構造図
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概要
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水田で強害草とされるタイヌビエの競争力に関わる形質を明らかはする目的で, イネとタイヌビエを置換実験法(1:1. 20cm 株間)で混植して出穂前と出穂後の生産構造図を求めた。出穂前(移植56日後, 7月29日)におけるイネとタイヌビエの単植区と混植区の生産構造図はともに中層に多くの葉群を分布させる紡錘型であり, 吸光係数も約0.4で差異がなかった(Fig. 1)。出穂後(移植後103日, 9月14)の生産構造図は, イネの単植区が葉群を上層に分布させる傘型, タイヌビエの単植区が紡錘型であった(Fig. 1)。混植区の生産構造図もまた紡錘型であったが, 草丈の大きいタイヌビエの上位葉が遮光するためにイネの葉群は相対照度40から60%の層に分布していた(Fig. 1)。個体当たりの地上部乾物重, 窒素含量と葉面積における収量の総相対収量(relative yield total)の値は出穂前, 出穂後とも1.0に近いことからイネとタイヌビエは同じ資源に対して競争していると考えられた(Fig. 2, Table 1, Table 2)。しかし, これら3つの収量におけるタイヌビエの出穂後の相対収量はイネの約2倍であった。したがって, 本実験条件下では, イネに比べ, タイヌビエは窒素を多く収奪する植物であるが, イネの草冠は上位葉を分布させるタイヌビエの草高がイネとタイヌビエの間の競争におけるより重要な形質であると思われた。また, 単植区と混植区ともに, C_3植物であるイネの同化部の窒素濃度はC_4植物のタイヌビエのそれよりも大きかった(Table 1)。さらに, 付加実験法で研究されたこれまでの報告と同様に, タイヌビエと混植されたイネは, 単植区に比べ, 収量構成要素のうち株当たり穂数と1穂粒数の減少が大きく, 結果として籾収量が34%減少した(Table 2)。
- 日本雑草学会の論文
- 1998-02-06
著者
-
草薙 得一
京都大・農
-
山末 祐二
京都大学農学部
-
草薙 得一
京都大学農学部
-
草薙 得一
京都大学農学都農学研究科雑草学講座
-
山末 祐二
京都大学大学院農学研究科
-
井上 博茂
京都大学農学研究科農学専攻栽培システム分野
-
井上 博茂
京都大学農学部付属農場
-
松井 勤
京都大学農学研究科
-
村山 英之
京都大学農学都農学研究科雑草学講座
-
山末 祐二
京都大学農学研究科
-
松井 勤
京都大
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