犬β-チューブリン・アイソタイプ特異的部位の解析とその発現(臨床病理学)

概要

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抗癌剤に対する耐性獲得機構として, MDR1の過剰発現などに加えβ-チューブリン(βTUB)アイソタイプ発現の変化が知られている.本研究では, 犬抗癌剤耐性腫瘍におけるβTUBアイソタイプ発現変化の解析に資するため, まず, 犬βTUBクラスI, II, III, IVaおよびIVbにおけるアイソタイプ特異的塩基配列を決定した.一方, クラスIVaおよびIVbはその3'-末端の塩基配列およびアミノ酸配列が極めて類似しているため, ノザンブロットや免疫化学的手法による相互の識別は不可能とされている.そこで, アイソタイプ特異的部位をプローブにしたリボヌクレアーゼ・プロテクションアッセイ(RPA)により, 各アイソタイプmRNAの発現解析を可能にした.さらに, 犬乳腺悪性混合腫瘍由来培養細胞のタキソール耐性株を樹立し, そのアイソタイプ発現変化を解析したところ, クラスIVaの有意な発現上昇が見られた.以上のことから, βTUBアイソタイプmRNA発現の解析にはRPAが極めて有用であり, また, ヒト腫瘍と同様に犬においてもβTUBアイソタイプの発現変化が抗癌剤耐性の獲得と関連していることが示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2001-12-25