犬における心臓と腎臓の血流量に対するドパミン点滴の効果(内科学)

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現在, 獣医臨床領域において, 腎疾患には低用量(3μg/kg/分以下), 循環動態改善のためには高用量(5μg/kg/分以上)のドパミンが使用されている.しかし, 現在までドパミンの高用量投与は, アルファアドレナリン受容体刺激作用による末梢血管の収縮を引き起こすことから, 推奨されてこなかった.そこで, 犬におけるドパミンの投与方法を探究するため, 麻酔下の健常雑種犬に3種類の投与量(3, 10, 20μg/kg/分)でドパミンを投与し, 心臓と腎臓の血流量を, カラードマイクロソフェア法により測定した.また, 各投与量における, 心拍出量, 平均動脈圧, 末梢血管抵抗の結果とともに腎臓と末梢循環への効果について検討した.3μg/kg/分のドパミン投与で, 著明な腎臓血流量の増加が認められた.ドパミンの高用量投与(10, 20μg/kg/分)では, 心臓血流量, 心拍出量, 平均動脈圧の著明な増加と, 末梢血管抵抗の減少による循環動態改善作用がみられた.20μg/kg/分のドパミン投与では, 著明な心拍出量の増加, 不整脈の発生, 不安定な腎臓血流量の増加から心筋酵素消費量の増加が示された.しかし, 10μg/kg/分のドパミン投与では, 心臓血流量の十分な増加に加えて, 腎臓血流量の十分な増加が安定して認められた.以上のことから, 犬におけるドパミンの臨床使用について, 現行の推奨量より高用量投与での, 安全域拡大が示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2002-01-25

犬における心臓と腎臓の血流量に対するドパミン点滴の効果(内科学)

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