右室流出路拡大形成術用のパッチグラフトとしてのデナコールEX-313処理牛静脈片と超極細ポリエステル繊維布の犬への長期移植成績の比較

概要

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デナコールEX-313(Denacol)処理牛静脈片と超極細ポリエステル繊維布(UFPF)を素材とするパッチグラフトを体外循環下で実験的に各6頭の犬の肺動脈に移植し,1年間にわたり有心系の血行動態とパッチグラフト移植部位の組織学的変化を比較検討した.移植後1,2,3,4,6,12カ月で行った心臓カテーテル検査では,いずれの犬においても右心室圧,肺動脈圧,右室-肺動脈間圧較差に異常は認められなかった.粗織学的には,術後1カ目からグラフト表面は血管内皮細胞で被覆され,移植期間が長くなるほどに血管内皮細胞は密に発達し,両群に明らかな差は認められなかった.血管内皮下の膠原線維,弾性線維,炎症性細胞を含む層は時間の経過とともにその厚みが滅少したが,Denacol群はUFPF群と比較していずれの時間においても細胞浸潤は軽度であり,グラフト中央部切断厚もDenacol群がUFPF群と比較して全期間を通して薄い傾向を示した.移植後6カ月以上のDenacol群でグラフト辺縁にごく軽度の軟骨化生が認められたが,その他の異常は認められなかった.以上の成績から,Denacol処理牛静脈片は移植時の操作性,移植後の組織反応においてUFPF布に比較しご優れた特性を有した素材であることが示唆された.
2003-03-25