犬僧帽弁置換術における人工弁(豚生体弁)の長期的な臨床的評価(外科学)

概要

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犬の僧帽弁閉鎖不全症に対する弁置換術に用いる人工生体弁を開発し,僧帽弁置換後の長期的な臨床的評価を行った.弁は,グルタールアルデヒド処理およびエポキシ化合物であるデナコール処理を施した豚の生体弁を用いた.ビーグル犬5頭に,試作した生体弁を使用して僧幅弁置換術を体外循環下にて実施した.術後約1ヵ月間は,抗血栓薬の投与を行ったがその後は無投薬にて維持した.術後6ヵ月の検査にて,全頭,人工弁逆流は認められなかったが,1頭に軽度な弁周囲リークが認められた.さらに,術後1年の検査にて,2頭に軽度な人工弁逆流が認められ,心エコー検査にて拡張期房室圧較差の増加が徐々に見られた.しかし,Pressure half-timeや弁口面積は,術後1年の時点でも正常範囲を示した.また,血栓症などを示す臨床症状はなく,心エコー上でも弁上および弁輪部に明らかな血栓形成は認められなかった.今回,試作した豚大動脈弁の生体処理弁は,1年軽過した時点で,その耐久性に問題を生じたが,抗血栓血性は維持されていた.
社団法人日本獣医学会の論文
2008-03-25