豚生体弁を用いた犬僧帽弁置換術の短期的評価(外科学)

概要

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我々が開発した人工生体弁を用いて,犬の増幅弁閉鎖不全症の根治術である増幅弁置換術を実施し,その短期的評価を行った.人工生体弁は豚の大動脈弁を利用し,グルタールアルデヒド処理およびエポキシ化合物であるデナコール処理を施した豚生体弁を作製した.増幅弁置換術は,ビーグル犬5頭を使用し,作製した生体弁を用いて,体外循環下で,左側肋間アプローチにて実施し,右心房および右心室から混血を行った.体外循環の血行動態は安定しており,手術も問題なく非常に速やかに行うことが可能であった.手術中に観血的に計測した左心房圧は,弁置換術前後で有意な変化はなく,正常範囲を示していた.また,増幅弁置換術後1週間の時点での,エコー検査において,術後合併症としで最も発生が多いとされる血栓形成は認められず,人工弁逆流も見られなかった.また,Pressure half-time(PHT)に関しては,術前は31.40±4.0mmHgであったものが,弁置換術後は99.20±19.4mmHgと有意な増加を来たしたが,生体弁としては正常範囲にあった.術後1週間の評価として,人工弁不全の徴候は認められず,犬において,豚生体弁を用いた体外循環下弁置換術は有望な方法であることが示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2007-08-25