マウスの実験的腹腔内精巣におけるアポトーシス様細胞死

概要

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本実験では, ICR系成熱マウスの実験的腹腔内精巣における精上皮の退行性変化, 及び処置後2ヵ月後に精巣を陰嚢内へ戻す回復処置後の精子発生の再開の過程を光学顕微鏡(ブアン液灌流固定, パラフィン包埋, HE染色, PAS染色), 透過型電子顕微鏡, 及びアポトーシス検出のためのTUNEL法(Tdt-mediated dUTP-biotin nick end labelling)を用いて詳細に観察した。精上皮の大きな形態学的変化は処置後1週の間に起こり, HE染色像において, 多数の変性精細胞に核濃縮, 細胞質の好酸性変化及び濃縮が認められた. また, TUNEL法を施した結果, 検出される細胞が確認された. 電子顕微鏡による微細形態の観察でも, 細胞質の凝縮, 核の濃縮などが認められ, これらの変性精細胞はアポトーシス様の過程を経て死に至っている可能性が示唆された. 処置後8週になると, 精上皮は薄層化し, セルトリ細胞, 精祖細胞, 及び少数の減数分裂前期の精母細胞を残すのみとなった. 回復処置後の精子発生再開像の観察では, 処置後6週以降には多くの精細管において正常な精子発生像が観察され, 精細胞の分化は陰嚢内に戻されるとほぼ同時に再開し,その過程は正常な速度で進行するものと推察された.
社団法人日本獣医学会の論文
1997-05-25