ある浄化槽におけるチカイエカ発生の周年調査
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概要
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1.1962年の4月より1963年の2月まで都内渋谷, 原宿, 代々木の浄化槽における蚊の出現季節消長, および1963年の4月より1964年1月まで都内原宿の出現季節消長を調査した.浄化槽の構造は渋谷, 原宿は基準型浄化槽で代々木は特殊平面浄化槽であつた.2.水温は渋谷の浄化槽が7°〜29℃, 原宿の浄化槽では4°〜32℃で, 代々木の浄化槽は暖房配管の近くであるため最低水温12℃, 最高水温は32℃であつた.3.発生消長は1962年の調査によると渋谷では7月初旬から12月まで発生し, この間の水温は8.5°〜29℃であつたが夏期の高温期は減少した.原宿の浄化槽では6月中旬より出現し, 8月の高温期に一時減少して, 9月より増加しはじめ, 1月下旬まで棲息していた.この間の水温は5.5°〜32℃であつた.1963年における調査では6月下旬から少数出現し, 8月中はほとんど幼虫は見つけることが困難であつた.9月に入り増加しはじめ12月初旬まで棲息していた.この間の水温は5.5°〜29℃であつた.4.環境条件としてpH, 透視度, CODをしらべたが, 発生量との間に関係は見出せなかつた.5.種構成をしらべた結果, 渋谷では8月半ばまでアカイエカ, それ以後, チカイエカと混棲し, 9月よりチカイエカのみとなるが, 10月下旬より11月中旬まで再び混棲していた.原宿の浄化槽では8月までアカイエカのみで, 9月に入りチカイエカと混棲し, 10月よりチカイエカのみとなつた.1963年の同地区の調査では7月および9月初旬はチカイエカのみで以後10月初旬までチカイエカと混棲し, 10月中旬以後, チカイエカのみとなつた.6.実験室内に飼育中のアカイエカおよびチカイエカを交雑させ, 正逆共に得られたF_1の♂の外部生殖器のDV/D, およびVentral armの幅を計測した結果, 中間値であつた.採集個体群では中間値のphallosomeはみられなかつた.7.代々木の浄化槽において駆除の1法として, 排気管の出入口にスクリーンをかけ, マンホールの間隙を修理し, 予備濾過槽に殺虫剤を撒いた所確実な効果を認めた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1965-05-31
著者
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