川崎市のある住宅地における蚊幼虫の発生に関する周年調査
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概要
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川崎市小杉の約50ヘクタールの地域で, 1959年4月から1カ年にわたつて, 蚊幼虫の発生状況の実態調査を行つた.その結果, 7種が採集されたが, アカイエカが圧倒的に多く(94.5%), ヒトスジシマカがこれについだ(3.6%).アカイエカの最も重要な発生源は, 下水溝であり, 素掘り明渠, コンクリート明渠に多かつた.4月に第1世代幼虫が出現したが, これらは, 野つぼや, 草の繁茂した素掘り下水溝のような保護環境に限られるような傾向がみられた.閉鎖水域では1〜2種の単純な種構成の群集構造を示し, 開放水域では, 3〜5種の複雑なそれを示し, しかもお互に近似していた.恐らく, 灌漑用水路まで下水化しているため, あらゆる開放水域に下水の注入が行われていることを示すものであろう.アカイエカが水田や池に, コガタアカイエカ, シナハマダラカが下水溝にしばしば見られた.また浄化槽が, アカイエカの発生源として注目された.アカイエカの幼虫の発生量と, 発生水域数と, 成虫の出現の季節的消長はほぼ一致した.ヒトスジシマカが, 墓地においてかなり高いポピュレーションを示した.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1962-04-05
著者
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