水浸漬されたセンチニクバエ成熟幼虫の蛹化および成虫化へのアラキドン酸量の役割
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概要
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センチニクバエの成熟幼虫は, 25℃の温度条件下では12日後に成虫となるが, 水に浸漬するとその成虫化は阻止され, 水浸漬から乾燥条件下に移すとその成虫化は進行する。10日間の水浸漬では, 生存率, 羽化率共に変化がないが, 15日間の水浸漬では, それらの率が急激に減少し0%になった。一方, 水浸漬14日後の幼虫の脂質量は, 6%から1%に減少した。正常発育した成虫では, このような著しい脂質の減少は認められなかった。脂質に含まれる主な構成脂肪酸の一つであるアラキドン酸は, 浸漬前の幼虫では構成脂肪酸の10.5%(0.58mg/1匹)をしめているが, 水浸漬10日後および14日後のそれは, それぞれ浸漬前の幼虫の22% (0.13mg), 9% (0.05mg)に減少した。このような顕著な減少はアラキドン酸以外の構成脂肪酸では認められなかった。これらの結果から, センチニクバエにおいては成熟幼虫が蛹一成虫への分化・発育を達成するためには, ある臨界量(閾値)のアラキドン酸の存在が重要であることが示唆された。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1996-09-15
著者
-
森林 敦子
感染研
-
森林 敦子
国立予防衛生研究所 技術部
-
安居院 宣昭
国立予防衛生研究所昆虫医科学部
-
倉橋 弘
国立予防衛生研究所
-
安居院 宣昭
感染研
-
安居院 宣昭
国立予防衛生研究所、昆虫医科学部
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