ダイオードを含む強制レイリー発振器に見られる分岐現象とカオス

概要

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強制レイリー方程式は非周期振動の存在が証明された最初の微分方程式として知られているが,カオスの存在は明らかではなく分岐現象についても詳しくは調べられていなかった.これに対し,筆者らは文献(1),(2)において,強制レイリー発振器にカオス的振動を見出した.ここでは,非線形素子を強散逸的とみなす(α→∞)ことによって拘束方程式を導き,ポアンカレ写像をnoninvertibleなcircle mapと対応づけカオスの発生を説明した.本論文では,この拘束方程式を用いて強制レイリー方程式の分岐現象の解析を行っている.Arnold tongue,intermittency,周期倍分岐,位相ロックカオス等の興味深い現象が確認され,これらの現象はこの写像を用いて説明されている.特に,正接分岐が発生するとき,トーラスへの転移とintermittencyが明確に識別可能であることを明らかにしている.また,拘束方程式とαが有限である場合についてLyapunov exponentを計算し,α→∞においてLyapunov exponentが拘束方程式のそれに収束することを数値的に明らいにしている.
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-07-25