光ファイバカプラを用いた温度こう配形熱量計

概要

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光ファイバマイケルソン干渉計の2アームを1組のセンシングファイバとして用い,試料容器の内壁と外壁間の温度こう配を直接測定することにより,温度外乱を相殺しながら,微少熱量を容易に測定できる温度こう配形熱量計を提案する.具体的には,光ファイバカプラなどを用いてマイケルソン干渉計を構成し,光ファイバカプラの2アーム(センシングアームおよび参照アーム)をそれぞれ試料容器周囲の内壁と外壁に沿ってコイル状に巻き付ける.この干渉計の出力信号の位相差から両壁間の温度こう配を直接求め,試料容器から流出する熱量を計測する.本論文ではその理論的解析と実験結果について述べる.理論値は,0.686mcal/sの与熱に対し測定値とほぼ一致した.なお,光ファイバマイケルソン干渉計の光源の周波数変動に対する位相差誤差を軽減するため,マルチモードレーザダイオードの低コヒーレンス性を利用し,本実験で用いる光ファイバカプラの2アーム間の光路長差を高分解能で測定したのち,アームの先端を切断して2アーム長を等しくした.その結果,周波数変動率10^<-5>の光源に対する位相誤差は0.0546rad(4.92μcal/s相当)以下に抑えることができた.
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-08-25