3次元の窓枠問題と奥行き運動知覚(「感性情報処理の基礎と応用」並びにヒューマン情報処理一般)(視聴覚情報処理)

概要

論文の詳細を見る
局在する窓枠を通して両眼視差による平面の3次元並進運動を観察する場合,視差変化から計測できるのは3次元運動方向を平面の法線方向に射影した成分のみである(3次元の窓枠問題).この運動方向の曖昧さは平面上の特徴の運動方向から解消することが可能であるが,その特徴が線分である場合,線分方向に沿った1次元の運動方向の曖昧さか残る.本研究では,このような窓枠問題が生じる状況での3次元運動方向知覚について検討した.垂直線分及び斜め線分を用いて水平軸回りに傾いた平面を構成し,これを垂直方向に運動させ窓枠を通して観察した場合,垂直線分の面からは奥行き方向の運動が知覚された.また,斜め線分の面からは,平面に沿って線分に直交する方向の運動が知覚され,平面の空間位置の変化は知覚されなかった.これらの結果は,3次元運動方向の決定において,拡大中心の存在のような運動方向を前額平行面に射影した際の2次元の運動成分から得られる情報に重みが置かれていることを示唆している.
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-12-12