非線形多入力振動回路の周波数領域での緩和法による解法

概要

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複数個の信号を含む通信システムやミクサ回路などには多くの独立な周波数成分からなる信号が含まれている. このような振動解は準周期と呼ばれ, 定常振動解の解析は非常に難しい. しかしながら, 実用的な通信回路の多くは周期的な搬送信号に小信号が変分的な形で重畳されているような場合が多い. このような系に対して, 奥村等は実用的な近似解析方法を提案し[1], RFシミュレータ等に用いられている. さらに, 彼らは周期的ノイズの解析に応用した[2]. 一方, Kundert 等はこの場合の決定方程式が特殊な形であることに注目し, Krylov 部分空間を用いて演算効率の改善を行った[3]. 本稿では, 奥村等の手法[1]を用いて, 時間領域の代わりに周波数領域での緩和法を適用した解析手法を提案する. したがって, この解法は信号周波数成分の数には無関係に適用できること, 周波数領域での解法であるため LC の数が増加しても演算効率はかわらないと云う特徴があり, 分布定数回路を含むような系にも容易に適用できる. しかしながら, 緩和法に基づいているため非線形性が強くなれば収束性が悪くなる.
社団法人電子情報通信学会の論文
1997-03-06