動的結合振動子 : 動的相互作用による協力現象

概要

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動的相互作用もつ結合振動子系(Dynamically-Coupled Oscillators(DCO))において,相互作用のダイナミクスが系の同期現象にいかに寄与するかを明らかにする.マルチスケール摂動法を適応して位相方程式に縮約すると,相互作用はその記述関数のみで記述されることが分かる.記述関数とは,線形システムで定義されている伝達関数を非線型システムへ拡張したものである.次にDCOの典型例として,抑制性結合による神経集団の同期現象に着目する.生理実験により,海馬CAlの抑制性細胞のネットワークでは,振動数が20Hz以下になると,巨視的同期が無くなることが示されている.しかし,この現象がなぜ起るのか,そのメカニズムは分かっていない.我々はこの現象を説明するモデルを提案する.180度の位相遅れを起こす最小記述モデルの信号伝達経路をもつ結合振動子系を提案し,マルチスケール摂動法と統計力学的手法を用いて解析を行う.そして,抑制性結合と位相遅れを伴う動的信号伝達経路の組合わせにより,高周波領域においては安定した位相同期が得られることを示す.しかしながら,低周波領域においては,抑制性結合の影響を打ち消すのに十分な位相遅れが得られず,巨視的同期が崩れることを示す.
2002-03-12