構造モデリングと概念地図を用いた概念形成支援法とそのシステムの試作

概要

論文の詳細を見る
本論文では, 構造モデリングと概念地図を用いて学習者の概念形成を支援するために(1)概念ラベルの提示及びその同定, (2)無矛盾な概念地図構築, (3)必要最小限の指導箇所の明示手法を提案する.一般に, 教育過程が学習者に対する知識の詰め込みではなく, 関連する概念の理解に基づく学習者の知識形成を促すものであることが望ましいと考えられている.概念地図法は, 概念形成のプロセスと内容を客観的な形で取り出し, 教師と学習者の相互により検討するための一つの方法として教育学において提唱された.従来, 概念地図作成に用いられる概念ラベルは, 教師が学習者に与えることを想定することが多かった.本提案手法では, 概念ラベルを提示する機会を学習者にも与える.また, 学習者が作成した概念地図の論理的な矛盾の発見や指導箇所の導出は教師に依存していた.本論文では, 推移性のある概念地図に限定し, 構造モデリングの一つであるFISMを導入することにより, 学習者の効果的かつ無矛盾な概念地図作成の支援と, 必要最小限の指導箇所の導出を行う.また, プロトタイプシステムを用いた被験者実験の結果からその学習可能性を確認する.
社団法人電子情報通信学会の論文
2001-09-01