鮮新-前期更新世の軟体動物群と古環境 : とくに,古日本海東縁の新潟堆積盆地を中心に

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古日本海東縁部に位置する新生代の新潟堆積盆地には鮮新統〜下部更新統が広く分布し, 多数の軟体動物化石を包含している。この軟体動物は半深海, 浅海, 内湾, そして淡水の各群集からなり, なかでも浅海域の種類は大桑-万願寺動物群の一員として知られている。さらに, 内湾群集は大陸沿岸系貝類群集の祖先種として考えられる。これらの諸群集は鮮新世から前期更新世における海洋の古環境の変化に応じて移り変わってきた。後期中新世以降前期更新世における軟体動物群および古環境の変遷をStage OからStage 4の5段階に区分して述べる。Stage Oは後期中新世の椎谷期で, 地殻変動や海水準変動が活発であり, 古海洋に大きな変化が生じた時代である。深海の軟体動物群集が知られている。Stage 1は前期鮮新世の西山期のはじめで, 半深海の海盆にタービダイト堆積物や珪藻質軟泥が厚く堆積した。暖流が古日本海に流入していた。泥・砂底に半深海〜浅海下部の群集(塩原型動物群)が生存し, それらは前の段階から引きつづき存続したグループであった。Stage 2は鮮新世中ごろの西山期にあたり, 新潟堆積盆地の東および南側では浅海化がはじまった。この頃がら, 寒流の影響を受けた大桑-万願寺動物群に特徴的な浅海の軟体動物群集や内湾の群集が現れはじめた。Stage 3は鮮新-前期更新世で西山期の後半〜灰爪期の前半である。新潟堆積盆地の東・南側の隆起および海退が顕著になり, 海岸平野が広く出現したが, 北部は半深海から浅海の海盆が存続した。大桑-万願寺動物群がもっとも繁栄した時代であり, 寒暖両流の影響を強く受けた。Stage 4は前期更新世で灰爪期の後半である。新潟堆積盆地の北部も海退をはじめた。暖流系の内湾群集や淡水群集からなる軟体動物がいくつかの層準で繁栄した。
1992-03-15

鮮新-前期更新世の軟体動物群と古環境 : とくに,古日本海東縁の新潟堆積盆地を中心に

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