A-12 有機質溶解能を有する被着面処理材に関する研究(その3) : 界面活性剤の歯面処理剤への応用
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概要
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演者らは、エナメル質, 象牙質の両者が存在する窩洞を有機質溶解能を有する歯面処理剤により、窩洞表面を化学的に同一なハイドロキシアパタイトリッチな組成とすることによって、両者に対して良好な接着性が得られることを期待し、根管清掃剤として広く知られている次亜塩素酸ナトリウム及びその類似化合物による歯面処理を試み、エナメル質、象牙質の両者に対する接着性の向上を可能とした。^<1, 2)>しかしながら, 有機質溶解剤として次亜塩素酸ナトリウム及びその類似化合物を用いる方法は、これらの処理に先立ち酸処理(無機質の脱灰:コラーゲンの露出)が必須であり、操作が煩雑になる欠点をもっている。そこで、酸と混合することが可能であり且つ有機質溶解能を有することが知られている界面活性剤との共存溶液による処理によって、酸処理と有機質溶解処理を同時に行うことが可能と考え本研究を試みた。その結果は、酸単独で用いる場合に較べ、界面活性剤との共存溶液はエナメル質、象牙質両者に対するClearfil New Bond(CNB)の接着強さをさらに向上させ, 特に、40wt/vol%-リン酸、10wt/vol%-クエン酸と、10wt/vol%-Cetylpyri-dinium chloride(CPC)を共存させた場合、牛切歯象牙質に対し8.47±1.49MPa、8.83±3.03MPaとそれぞれ酸単独の場合に較べ2倍以上の引張り接着強さを発現させた。また、その処理操作も次亜塩素酸ナトリウムとその類似化合物の場合《酸処理》→《水洗》→《次亜塩素酸ナトリウム処理》→《水洗》と煩雑であるのに対して《酸-界面活性剤共存溶液処理》→《水洗》と簡便である。
- 1991-09-25
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