難聴高齢者における聴力低下に対する対処方略が精神的健康におよぼす影響
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概要
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本研究の目的は, 難聴高齢者を対象として, 聴力低下に対する対処方略と精神的健康の関連性を明らかにすることであった。調査対象は, 日本赤十字社和歌山医療センターを利用し, かつ感音性難聴と診断された者193名とした。調査実施に先だち, 対象者に口頭にて調査の趣旨ならびに結果の利用方法について説明し患者の同意を得た。調査は言語聴覚士による質問紙を用いた半構造化面接法により実施した。統計解析にあたって, まず, 15項目3下位尺度(問題解決型対処, 情動調整型対処, 回避型対処)からなる対処方略尺度を開発し, その構成概念妥当性を確認的因子分析により検討した。結果は, 対処方略尺度の構成概念妥当性を支持するものであった。次いで, 各種対処方略と精神的健康の関連性を検討したところ, 問題解決型対処と回避型対処はいずれも精神的健康と有意な関連性を示さなかったが, 情動調整型対処は精神的健康の悪化と有意な関連性を示していた。以上の結果を踏まえ, 難聴高齢者における今後の対処方略研究の課題について考察した。
- 2005-09-25
著者
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矢嶋 裕樹
岡山大学大学院・医歯学総合研究科・社会環境生命科学専攻
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矢嶋 裕樹
岡山大学大学院・医歯学総合研究科公衆衛生学分野
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齋藤 友介
大東文化大学・文学部教育学科
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齋藤 友介
大東文化大学文学部教育学科
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矢嶋 裕樹
岡山大学医歯学研究科
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矢嶋 裕樹
新見公立大学看護学部看護学科
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