有機酸溶離液系でのイオンクロマトグラフィーにおけるサプレッサーのピーク検出への影響
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概要
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イオンクロマトグラフィーにおいて、有機酸溶離液を用いてサプレッサーを使用しない場合と使用した場合に電気伝導度検出を行ったときの有機酸ピークの応答について検討した.2.5mMフタル酸水素カリウム(pH4.15)溶離液ではサプレッサーを使用しないとき, 有機酸は正のピークを示した.サプレッサー(除去液15mM硫酸)を使用すると, 酢酸, 乳酸, コハク酸, リンゴ酸, 酒石酸のピークは負のピークとして現れ, クエン酸のピークは検出されなかった.一方, 2.5mMフタル酸(pH2.90)溶離液では酢酸, 乳酸, コハク酸, リンゴ酸は正のピークとして検出された.検出器内では溶離液の電気伝導度がバックグラウンドとなり, 有機酸はそれに対する電気伝導度の変化分として応答を示す.しかし, pHの高い溶離液ではカラム中の有機酸は十分解離しているが, サプレッサーを通過させると解離が抑制される.フタル酸溶離液では有機酸の解離は既に抑制されているため, サプレッサーの使用の有無による解離に変化はない.この違いが検出器での応答の差となり, フタル酸水素カリウム溶離液でサプレッサーを用いたときに, 電気伝導度(極限当量伝導度とイオン化率の積)の低い有機酸が負のピークを示したと考えられた.又, 負のピークの大きさは注入された試料濃度に比例していた.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1992-07-05
著者
-
谷 和江
山梨大学大学院医学工学総合研究部物質・生命工学専攻
-
小泉 均
山梨大学大学院医学工学総合研究部物質・生命工学専攻
-
谷 和江
山梨大学工学部
-
丁 明玉
山梨大学工学部化学生物工学科
-
鈴木 義仁
山梨大
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