オブジェクト指向方式によるルール記述について : メッセージ駆動プロダクションシステム
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概要
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本報告ではデータ抽象化を特徴とするオブジェクト指向言語に適したルール記述形式として、メッセージパシングの履歴を条件要素とするプロダクションシステム(PS)を提案する。オブジェクト指向方式では対象となる個々の『もの』に対する知識はオブジェクトとしてまとめることができる。またオブジェクト相互間の手続的知識はメッセージパシングにより自然に記述できる。ところがオブジェクト相互間の宣言的知識については適切な表現手段がない。このため代表的な宣言的知識の表現手法であるルール・ベースシステムとオブジェクト指向方式との統合化が各所で試みられている。しかし従来の統合化においてはデータ抽象化と相反する、オブジェクトの内部状態を直接扱うルール記述がなされている。すなわちオブジェクト内の変数名(属性名)とその値の組をプロダクションルールの条件要素としている。ルールが複数のオブジェクトに対してこのような条件を設定する場合、オブジェクト外部に対する情報隠蔽が保たれない。現在のところオブジェクト指向に対する考え方は人により各様であるが、筆者らはデータ抽象化機能によるモデュラリティをオブジェクト指向方式の重要な利点と考えている。従って本稿ではオブジェクト外部に公開されているメッセージに着目し、オブジェクト指向方式の自然な拡張と考えられるメッセージの生起を条件とするルール記述(メッセージ駆動プロダクション・システム、MDPS)について考察する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01
著者
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