オブジェクト指向型人工生命への自律的展開性の導入
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概要
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ここではエコロジーモデル型の人工生命システムとして,相互作用を及ぼしあう個体が環境から餌としての行動戦略を獲得しながら,学習と進化を通して効果的な行動パターンを獲得していくモデルを提案する.人工生命に関する研究は多岐に渡るが,その中でもエコロジーモデルの場合,環境及び他の個体と複雑に相互作用を及ぼし合う個体に,いかにして優れた行動戦略を獲得あるいは発現させるかに興味が持たれている.このようなモデルには各個体の行動戦略の実現方法として,クラシファイヤーシステムを用いたものや,ルックアップテーブル,ニューラルネットワークにより適応的に獲得させようとする.こうしたモデルでは期待する複雑な行動戦略を実現する前により単純な行動戦略を実現するのみに留まる傾向がある.一方,ジェネティックプログラミング(GP)やTierra,Czooでは行動戦略のモデルをあらかじめ明示的に用意せずとも発現的に得られる点が興味深い.しかしながらこの両者もまた対照的なモデルとなっている.GPでは有効な個体を求める評価関数が明示的に与えられ,不完全な個体から進化を通して完全な個体を求めようとしている.Tierraでは明示的な評価関数は存在せず,完全な個体プログラムから寄生虫などのように特殊な環境下で生存可能な変種プログラムを求めている.この両者のモデルを他の領域に用いようとした場合に問題となるのがその言語構成である.すなわち突然変異にもある程度ロバストであることが要求される一方,構成要素同士の組み合わせにも柔軟に対応することが必要になり,言語設計の難しさが難点となる.このような問題点に対し,ここでは言語構成をオブジェクト指向とすることにより,行動を実行するオブジェクトヘの起動メッセージは一定に保ち,オブジェクト内の振る舞いを突然変異によって変更すると言う手法によって,言語構成に自由度を取り入れる方法を用いる.こうした言語構成使用の下で,設定するモデルとして,環境内に散らばる餌としての行動ルールを獲得,利用して優れた行動戦略を持った個体群の発現させようとするものである.以下ではこの提案モデルの枠組みを説明する.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1993-09-27
著者
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