階層的領域併合によるベクトル量子化に基づく画像圧縮

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マルチメディアの将来における,印刷物や写真に匹敵する品質の高精細画像を扱うには,現在国際標準として規格化されている画像圧縮アルゴリズムより,さらに高能率の圧縮が不可欠である.既に規格化された方法では,画像をブロックに分割し,ブロック毎にDCTを行なっている.しかし,DCTでは圧縮するために高周波成分を間引いており,エッジの周辺にノイズが現れる,いわゆるモスキート雑音を生じる.また,画像の内容に拘らず機械的にブロックに分割してDCTを適用するため,隣り合うブロックとの僅かな差が,境界部分で人間の視覚特性により強調され,ブロック歪みが生じてしまう短所がある.一方,数学的知見をもとにした高能率・高品質の圧縮手法も提案されている.その一つがフラクタル符号化である.Barnsleyらは画像に内在する自己相似性を利用して,反復関数システム(IFS)により画像を圧縮する方式を提案した.Barnsleyの方式を具現化したのはJacquinで,画像をレンジセルに分割し,レンジセルを取り囲むドメインプールと呼ぶ正方領域の中にあるドメインセルから,レンジセルを縮小写像としたとき,最適な写像の領域となるドメインセルの位置と,輝度値,回転変換から構成される写像パラメータを符号化する.IFSによるフラクタル符号化は,非常に高い圧縮率を示しているが,画像をブロック化し,矩形領域内での縮小画像の貼り合わせによる自己相似の近似には限界があり,繰り返し演算を行なっても,復元画像の特性は飽和し,良くならないという報告がある.また,ベクトル量子化も有望視されているが,コードブックの生成に決め手となる手法は確立されていない.そこで本研究では,画像中の基本的「内容」である領域の抽出を基礎とし,単純なパターンでコード化し,大領域に成長させながら,それらを変換パラメータで表現する手法を提案する.
1995-09-20

階層的領域併合によるベクトル量子化に基づく画像圧縮

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