Neurospora crassa のRNase N_1 生産におけるフラスコからジャーファーメンターえの培養規模の拡大 : 酵素生産に対する溶存酸素と攪拌の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Neurospora crassa のRNase N_1 の生産性をフラスコおよびジャーファーメンターで同じにできる因子を見出すための予備的実験を行った.亞硫酸化法にもとづき, 500mlフラスコから30l容ジャーファーメンターえ培養規模を拡大したとき, 後者の酵素生産は前者の2.5倍であった.実際の培養では, 両者の酸素吸入速度係数, Kd, が同じでも, 酵素生産期における溶存酸素(DO)濃度はフラスコでは6ppm, ジャーファーメンターでは4ppmであった.酵素の生産は, 酵素生産期のDOと培養系の撹拌の強さに依存し, これらの両因子はそれぞれ密接な関係があることが以下のようにわかった.ジャーファーメンターでは, DO濃度が4ppmのとき撹拌機の最適速度は220rpmであり, この撹拌速度のときの最適DO濃度は6ppmであった.以上の条件下での酵素の生産性は, フラスコ培養にくらべそれぞれ約3.5および4.0倍であった.150mlの培地を用いたフラスコ培養では, 酵素生産のための最適DO濃度は2ppmであった.このDO濃度を維持したときの酵素の生産性は4ppmに維持したときの約2倍であった.硝子棒や邪魔板をフラスコ中に挿入し, 培養系の乱れを高めたとき, 最適DO濃度の値も高まった.邪魔板を挿入したとき最適濃度は4ppmに高まり, 酵素の生産性は普通の培養の約2.5倍であった.この結果は, 撹拌速度が170rpm, 通気速度20l/min, 培養液量20lおよびDO濃度を4ppmに維持したジャーファーメンター培養の結果と同じであった.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1971-12-25
著者
-
武部 英日
東京教育大学生物化学工学科
-
上田 清基
東京教育大学農学部生物化学工学科
-
高橋 穣二
東京教育大学農学部生物化学工学科
-
高橋 穰二
東京教育大学生物化学工学科
-
野本 正雄
生化学工業
-
上田 清基
土浦短大・家政
関連論文
- 217 糖蜜醗酵廃液の脱色とBOD低下処理システムの開発に関する研究 : 担子菌のメラノイジン脱色酵素群について
- 216 糠蜜醗酵廃液の脱色とBOD低下処理システムの開発に関する研究 : 細菌アガラーゼの糠蜜色素脱色能について
- 408 糖蜜醗酵廃液の脱色とBOD低下処理システムの開発に関する研究 第1報
- 324 固定化酢酸菌によるD-ArabitolからD-Xyluloseへの変換
- 456 カルス細胞の高濃度培養に関する研究(第1報) : 変形パドル型攪拌翼を備えたジャーファーメンターによるカルス細胞の培養
- かく拌による菌糸内核酸関連物質の漏出過程における律速段階について : 糸状菌の液内培養における菌糸に与えるかく拌の影響に関する研究(第8報)
- 懸濁菌糸からの核酸関連物質の漏出過程に及ぼすかく拌の影響 : 糸状菌の液内培養における菌糸に与えるかく拌の影響に関する研究(第7報)
- 459 撹拌による菌糸内低分子核酸関連物質の漏出速度の律速因子について
- 458 撹拌による糸状菌細胞内核酸関連物質の漏出の観察法
- 457 菌糸の撹拌に対する界面活性剤の影響
- 422 攪拌による菌糸内高分子核酸の酵素的分解とその低分子物質の漏出
- 糸状菌菌糸に与える攪拌の衝撃の影響を軽減したジャーファーメンター : 糸状菌の液内培養における菌糸に与える攪拌の影響に関する研究 (第6報)
- 機械的攪拌に対して生理的活性維持の菌糸強度を表わす指標について : 糸状菌の液内培養における菌糸に与える攪拌の影響に関する研究 (第5報)
- 攪拌による菌糸内ヌクレオチドの漏出を伴う菌糸増殖の動力学 : 糸状菌の液内培養における菌糸に与える攪拌の影響に関する研究 (第4報)
- 菌糸懸濁液の攪拌における菌糸に与える衝撃の強さを表わす基準について : 糸状菌の液内培養における菌糸に与える攪拌の影響に関する研究 (第3報)
- 309 動物細胞の回分並びに連続浮遊培養について
- 糸状菌の通気攪拌培養における菌糸内ヌクレオチド類の漏出現象と漏出物質の同定
- 菌糸懸濁液の攪拌による菌糸内物質の漏出現象と漏出物質の同定
- 糸状菌の通気撹拌培養における菌糸内のヌクレオチド類の漏出現象と漏出ヌクレオチドの同定〔英文〕
- 菌糸懸濁液の撹拌による菌糸内物質の漏出現象と漏出物質の同定〔英文〕
- 332 糸状菌の深部培養における菌糸に与える撹拌の影響に関する研究(第6報) : 最適培養装置の基礎的研究
- 331 液内培養における糸状菌の形態に関する研究
- 233 核酸関連物質の漏出速度を基準とした糸状菌菌糸の撹拌に対する強度
- 452 Rhizopus属の液内培養によるグルコアミラーゼ生産に関する研究 (第2報) : 培地組成及び拡大培養についての予備的検討
- 310. 青カビのエリソルビン酸生産における鉄の影響に関する研究
- 229 液内培養によるエリソルビン酸の生産に関する研究
- 312 細菌によるソルビトールからフラクトースの生産に関する研究(第4報) : 連続培養における菌体の増殖及び酵素活性におよぼすM_nの影響
- 生物化学工学の将来 : 昭和39年度日本醗酵工学会大会(11月11日)におけるパネルディスカッション
- Neurospora crassa のRNase N_1 生産におよぼす攪拌強度の影響
- Neurospora crassa のRNase N_1 生産におけるフラスコからジャーファーメンターえの培養規模の拡大 : 酵素生産に対する溶存酸素と攪拌の影響
- 307. 糸状菌のRibonuclease N_1の生産におよぼす溶存酸索準位と撹拌の影響
- グルタミン酸醗酵の連続化に関する基礎的研究 (第1報) : 薬剤を利用する雑菌汚染管理の基礎実験
- 209 糸状菌の深部培養における菌糸に与える撹拌の影響に関する研究(第5報) : 糸状菌増殖過程の動力学
- 連続醗酵に関する研究 : (第10報) D-フラクトース醗酵の動力学的研究
- 223. 連続醗酵に関する研究 : (第10報) D-フラクトース醗酵の動力学的研究
- 458 n-Paraffin中における黒カビ胞子の熱死滅について
- n-Paraffin中における黒カビ胞子の熱死滅について
- グルタミン酸醗酵の連続化に関する基礎的研究 : (第4報) 直列4槽連続醗酵および増殖槽の挙動についての考察(生物化学工学特集号-II 滅菌および培養工学)
- 27.アゾトバクター属菌の培養に関する研究 : (第1報)窒素源過剰培地におけるバリンおよびアセトンの生成(昭和39年 日本醗酵工学会大会)
- 100. グルタミン酸醗酵の連続化に関する研究 : (第4報) 増殖相の検討による多段連続醗酵の改善
- 27. アゾトバクター属菌の培養に関する研究 : (第1報) 窒素源過剰培地におけるバリンおよびアセトンの生成
- グルタミン酸醗酵の連続化に関する研究 : (第3報)多段連続醗酵の基礎的実験
- グルタミン酸醗酵の連続化に関する研究(第2報) : 増殖相における定常醗酵の雑菌汚染管理の検討と定常維持因子の発見
- 糖蜜の連続醗酵における雑菌汚染の管理 (話題〔醗酵過程の管理〕) (醗酵過程の管理・シンポジウム特集)
- 39. フラクトース醗酵に関する研究 : (第3報)Bacillus属の醗酵における醗酵促進因子(平成38年度 日本醗酵工学会大会講演会研究発表要旨)
- 39. フラクトース醗酵に関する研究 : (第3報) Bacillus属の醗酵における醗酵促進因子
- 950 かびの液内培養の研究を背景とし, スポーツによる筋肉疲労の原因えの新しい取り組み
- 219 糠蜜醗酵廃液の脱色とBOD低下処理システムの開発に関する研究 : 攪拌型バイオリアクターによる連続脱色
- 218 糠蜜醗酵廃液の脱色とBOD低下処理システムの開発に関する研究 : 多段気泡塔型バイオリアクターによる連続脱色
- 431. 動物細胞培養可能な加圧殺菌培地の開発
- 244 放線菌の生産する非拮抗型グルコアミラーゼインヒビターについて
- 319. 醗酵法によるフラクトースの製造に関する研究 : (第5報) イオン交換膜電気透析法によるフラクトースの脱塩精製に関する基礎的研究
- 醗酵工業における原料の転換
- 炭化水素資化性菌の培養に関する基礎的研究 : (第2報)n-Pentaneの培養液への移動速度の測定
- 233. 炭化水素資化性菌の培養に関する基礎的研究 : 第3報 酸素吸収速度の測定法について
- 230. 炭化水素資化性菌の培養に関する基礎的研究 : (第2報) pentane資化性細菌の生育におよぼすpentane濃度の影響
- 229. 炭化水素資化性菌の培養に関する基礎的研究 : (第1報) pentaneを基質とする培養系の物質収支
- 微生物による炭化水素の利用
- 403 ガス状炭化水素資化性菌の培養に関する研究 (第2報) : プロピレン資化性細菌E-67株の増殖頭打ち現象について
- 234 ガス状炭化水素資化性菌の培養に関する研究(第3報) : Nocardia corallina E-67株の蓄積する生育阻害物質について
- 産業からみたバイオテクノロジ-