地力に及ぼす集約的保育作業の影響(III) : 幼齢林での下刈りと施肥および第1回枝打ちによる流出養分量
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概要
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皆伐後, スギ・ヒノキの人工植栽を行った幼齢林で, 下刈り・施肥・枝打ちなどの保育作業が小流域からの養分の流出に及ぼす影響をみるため, この幼齢林と隣接する壮齢林の実態とを比較させながら, 流出水量およびその流出水中の養分量を5年間調べた。調査開始後3年間の幼齢林での消失水量は300〜400mm/年であったが, 枝打ち後1年目の消失水量は100mm/年に減少し, 次の年には200mm/年に増加した。下刈りしてから, 大きな降水のない日が続いた後, 一度に多量の降水があると, 一時的ではあるが, 流出水のK, Ca, Mg濃度の増加がみられた。施肥による流出水中の養分濃度の高まりは, 造林後まもない皆伐の影響の強い時期に顕著にみられ, 年数が経過し, 閉鎖にともなって小さくなる。流出養分量は流出水量が大きいと多くなるので, 枝打ちなどで林冠が破られた後にはできるだけ早く閉鎖させ, 林分の蒸発散量を安定させることが, 生態系からの流出養分量を少なくさせることにつながる。
- 日本森林学会の論文
- 1985-03-25
著者
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