森林土壌中における窒素無機化の反応速度論的解析(I) : 林齢・斜面位置・深さ別の窒素無機化特性
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概要
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森林土壌中の窒素無機化過程の解析から無機化量の推定を行うために、スギ・ヒノキ林の土壌を採取し、3段階の温度下で培養した。培養を140日間行い、1〜2週間ごとの無機態窒素量を反応速度モデル式化することにより、三つの特性値(可分解性窒素量、反応速度定数、見かけの活性化エネルギー)を得た。その結果、幼齢林より壮齢林、斜面上部より下部、土壌下層より表層といった、土壌有機物の多い場所で無機態窒素供給の量・速度が大で、温度変動に安定的であることがわかった。また、土壌の全窒素と可分解性窒素量には正の相関があった。本研究の森林土壌では、特性値間の相関も認められた。モデル式に地温をあてはめて推定した年間の無機態窒素量は、どの場所も表層で著しく多かった。深さ0〜10cmの年間窒素無機化量は、壮齢林の斜面下部で146kg・ha^<-1>、上部で120kg・ha^<-1>、幼齢林の斜面下部で83kg・ha^<-1>、上部で54kg・ha^<-1>と推定された。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1994-03-01
著者
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