斜面位置の異なる馬尾松人工林の養分現存量

概要

論文の詳細を見る
中国福建省にある馬尾松林の養分特性を明らかにするために, 同一斜面の上, 中, 下部にある30年生の馬尾松林の養分量およびリターフォールによる養分還元量の調査を行った。斜面上部での馬尾松林の総地上部現存量は82 t ha^<-1>で, 斜面中部および下部はそれぞれ斜面上部のおよそ2.4倍, 2.9倍であった。馬尾松造林地は下層植生が多く, 馬尾松地上部総量の11〜17%に相当し, 地力維持を考える上で, 無視できない量であった。馬尾松林の場合, 一般に皆伐・火入れ地拵えが行われ, 地表にある有機物は丁寧に燃やされる。本調査地の場合, 皆伐した後に土壌へ残存する総有機量(馬尾松の葉・枝, 下層植生およびA_0層の和)は, 斜面上部, 中部, および下部でそれぞれ21.5,46.4,59.8 t ha^<-1>で, それに含まれるN量はそれぞれ187,400,460 kg ha^<-1>であり, 火入れによって多量の養分の流亡が懸念される。馬尾松の皆伐一斉林の繰り返しを行った場合, とくに生態系内でのMgの循環がうまく行われず, Mgの欠乏が予測された。
1999-05-16