スギおよびヒノキ林の林内雨成分に占める乾性沈着および樹冠溶脱の分離

概要

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群馬県勢多郡にある東京農工大学演習林の18年生のスギ・ヒノキ林で,林外雨および林内雨の元素濃度を調査した。林内雨の溶存元素量は林外雨に比較して, K^+で7〜10倍に,Ca^<2+>およびM^<2+>で3〜4倍に,無機態NおよびSO_4^<2->-Sで約2倍に増加した。変数増加法を用いた解析の結果,林内雨の溶存元素量を増加させる説明変数として,無降雨日数と降雨量は有効であるが,林外雨のH^+濃度は有効でなかった。林内雨の溶存元素の増加量を基準変数とし,無降雨日数,降雨量を説明変数として重回帰解析を行った。平均乾性沈着速度は,両林分ともにCa^<2+>が最も高く,NH_4^+-Nが最も低かった。平均溶脱速度は, K^+とCa^<2+>が最も高かった。林内雨における湿性沈着量,乾性沈着量および溶脱量の割合は,スギ林ではK^+が1:2:7, Ca^<2+>とM^<2+>が2:4:4, Na^+が6:3:1, Cl^-が4:3:3, NO_3^--N が4:4:2, SO_4^<2->-Sが5:3:2であった。ヒノキ林ではどの元素も乾性沈着量と溶脱量の割合がスギ林よりも若干小さかった。
日本森林学会の論文
1996-11-16