降雨イベントでの渓流水の溶存物質の流出特性と流出成分の分離

概要

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降雨前から降雨後にかけての流出水の溶存無機元素の濃度変化を, 4種類の降雨イベントで調査した。さらにアルカリ度を用いて流出成分の分離を行い, 流出経路と水質変動との関わりについて検討した。調査地は渡良瀬川上流に位置する東京農工大学大谷山演習林にある, 幼齢林と壮齢林それぞれ隣接している二つの集水域である。一降雨量が100mmを超える流出時には, K^+, Ca^<2+>, Mg^<2+>, N0^-_3-N, S0^<2->_4-Sの濃度および電気伝導度は, 流量の増加にともない増加し, その後の流量逓減時において低下した。その反対の傾向がNa^+, Cl^-, HC0^-_3,Si0_2,pHにみられた。しかし, 一降雨40mm程度の場合はその傾向は明確でない。4降雨イベントともに, 流出水のCa^<2+>, N0^-_3-N, Mg^<2+>濃度および電気伝導度では, 互いの2要素間に正の相関関係が認められた。アルカリ度による流出成分の分離結果, 降雨とともに基底流出の顕著な増加が認められた。総降雨量が189mmのときのピーク時の流量に占める基底流出量の割合は幼齢林で29%, 壮齢林で53%であった。総降雨量が45mmの降雨では, 幼・壮齢林とも90%であった。
日本森林学会の論文
1992-05-01