ヒノキ人工林における天然生ヒノキ稚樹の個体群動態(IV) : 実生の発生過程

概要

論文の詳細を見る
無間伐林分, 間伐林分, 林縁, 林外等の地上部環境と土壌撹乱の有無等の地表条件の異なるヒノキ林地で, 人工播種および自然落下種子から発生した実生の発生過程および発生率と地床の環境条件との関係について1978,1979,1980年の3年間にわたって調べた。実生の発生は4〜5月から始まり8月ごろまで続いた。地床付近の平均気温が約8℃以上になると発生が開始したが, 土壌含水率が100%以下になると発生が抑制されるようであった。林冠が存在し相対照度で50%以下に相当する地床では, A_0層を除去された地床のほうが実生の発生最盛期が早く発生率も高かった。また発生率は地床の相対照度の増加につれて増加し, 10〜30%で高い発生率を示すようで, この傾向はA_0層が除去された地床で顕著であった。林冠が存在せず相対照度で50%以上に相当する林外の地床では, 土壌水分の不足の影響で, 実生の発生開始時期やその最盛期の年による違いが大きく, 実生の発生率はきわめて低かった。
日本森林学会の論文
1985-01-25