ヒノキ人工林における天然生ヒノキ稚樹の個体群動態(II) : 当年生稚樹の死亡要因

概要

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無間伐林分, 間伐林分, 林縁, 林外等の地上部環境と地床処理の有無等の地表条件の異なるヒノキ林地で, 人工播種によって発生した当年生ヒノキ稚樹の死亡要因を個体識別法を用いて1978年4月から12月にかけて定期的に調査した結果, 動物害, 乾燥害, 雨滴害による稚樹の死亡がおもに認められた。動物害による死亡は林内と林縁で発生した当年生稚樹の死亡要因のなかで最も多かったが, 林外ではほとんどおこらなかった。また, この死亡要因は当年生稚樹の生育段階との関係が強く, 生育初期段階にのみ作用した。乾燥害と雨滴害は地床の状態に強く依存し, 乾燥害は地床無処理区で, 雨滴害はA_0層除去の地床処理を行なった試験区で多かった。これらの死亡要因の生育段階との関係は動物害ほど強くなかったが, 生育初期段階での死亡が相対的に多い傾向がみられた。林外では, 地床状態や稚樹の生育段階のちがいにかかわらず, 当年生稚樹の死亡の大部分が乾燥害によるものであった。
日本森林学会の論文
1980-09-25