森林の物質循環と地位との関係について(IV) : 林地への養分供給量

概要

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林地への養分供給量を斜面上部と下部とで比較するために, 大枝リター, 降水に含まれる養分量を測定した。(1)降水により供給される養分量は斜面下部で多く, 斜面上部で少ない傾向にあった。これは降水量そのものが斜面上部では下部にくらべて少ないことと養分濃度がチッ素を除いて斜面下部で高いことによる。(2)大枝リターによる供給量はどの養分でも斜面下部のほうが上部よりやや多いようである。(3)小型リター(直径50cmの円形リタートラップで集められるリター), 大枝リター(直径5mm以上の枝), 降水の三者による養分供給量の合計は斜面下部で多く上部で少ない。最も多い斜面下部のN-7を1とすると, 斜面上部のN-3,N-4ではすべての養分で0.5以下であった。供給量の中でそれぞれが占める割合は養分によって異なり, チッ素, リンでは小型リターが大きく, カルシウム, マグネシウムでは小型リターがやや小さくなり, 大枝リターおよび降水が大きくなった。カリウムではチッ素, リンとは逆に降水の占める割合が大きくなった。
日本森林学会の論文
1976-03-25