サワラ老齢林の閉鎖林冠下および林冠ギャップ下におけるサワラの栄養繁殖パッチの出現パターンとサイズ構造
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概要
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老齢サワラ林の閉鎖林冠を有する林分(閉鎖林分)と林冠ギャップを有する林分(ギャップ林分)で、主に伏条による栄養繁殖によって形成されたサワラのパッチの出現パターンとサイズ構造について、その出現基質とともに調査した。パッチ内の最高葉条枝の高さが1.3m以上のものを幼木パッチ、未満のものを稚樹パッチと区分しこれらの出現状態を調査した結果、これら両タイプのパッチは両林分とも出現し、ギャップ林分で多数出現した。パッチのサイズ(楕円近似した面積)分布は、小サイズのものが多い逆J字型の分布を示し、この傾向は稚樹パッチで顕著であった。稚樹パッチの平均サイズはギャップ林分よりも閉鎖林分でより大きかったが、ギャップ林分では大型の幼木パッチの出現頻度が高かった。これらのパッチは岩石を含めて林床のさまざまな基質上に出現したが、リターを有する地床以外での出現頻度が高かった。また、パッチは閉鎖林分では落葉広葉樹の樹冠下に・ギャップ林分では林冠ギャップ下でより多く出現した。陽光条件が悪い場合にはパッチは伏条によって水平方向に拡大するが、陽光条件に恵まれれば垂直方向に伸長成長するようである。下層の陽光条件を良好にする林冠ギャップの形成は、サワラの栄養繁殖パッチからの更新に重要な役割をもっている。
- 1994-09-01
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