赤沢自然休養林におけるアスナロ下層木の出現パターン
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概要
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木曽地方にある赤沢自然休養林の老齢ヒノキ属林内で、下層を優占するアスナロ下層木の出現パターンについて調査した。点頻度調査法によりアスナロ下層木は斜面上部よりも下部でより高頻度で出現することが明らかとなった。また、アスナロ下層木を有する林分ではアスナロ林冠木が存在すること、一方、アスナロ下層木を欠く林分ではアスナロ林冠木も存在しないことが最短距離法による調査から確かめられた。四分角法による調査結果から、アスナロ下層木の密度はその林冠木の密度の増加にともない増加する関係が認められたが、この関係は下層木密度に飽和密度の存在する曲線で最も適合度が良く回帰された。さらに、アスナロ林冠木の存在しない林分では、林冠ギャップ内でもアスナロ更新木は認められなかった。以上の結果からアスナロ下層木の有無とその多少はその林冠木の有無と多少によると推測され、このことから本休養林においてアスナロ下層木の将来における蔓延を抑制するためにはアスナロ下層木の除去のみならずその林冠木の除去が必須であることが強く示唆された。
- 1994-11-01
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