汎用計算機のための内蔵ベクトル演算方式
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概要
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より高い性能の汎用計算機に対する期待は根強いものがあるが, 従来の命令体系(アーキテクチャ)の上での性能向上はしだいに困難になってきている. 一方, 科学技術計算の分野では, 従来からベクトル演算を主体としたスーパーマシンまたはベクトルプロセッサが使われてきている. 汎用機の特徴を失うことなく, ベクトルプロセッサの概念を導入し, 高速の科学技術計算を可能とするような内蔵ベクトル演算方式を開発した. 開発したベクトル演算方式では, 計算機利用者から見て, その機能のある無しは高い性能という点を除いては見えないようになっている. すなわち, アドレッシング方式, 割込み方式等は汎用機と同じ枠組みに収め, 自動ベクトルコンパイラによってFORTRANコードからベクトルコードに自動的に変換されるため, 計算機利用者はベクトル演算機能を利用するための特別の準備はいっさい不用である. また, 汎用計算機という性格から, このためのハードウェアの増加を最小限とするため命令種も単・倍精度を含めて28に絞った. この方式は, HITAC M180/200Hに内蔵アレイ・プロセッサ(IAP: Integrated Array Processor)機能として実用化したところ, ベクトル演算能力評価用のループミクスで1.7〜3.4倍, 線形計算プログラムで1.6〜3.4倍の性能向上を実現することができた. 一般のバッチ計算センタでも40%程度の性能向上が可能と思われる. 半導体技術の進展により回路コストの著しい低下が進んでいるので, 近い将来には, 現在のスーパーマシン並みのベクトル演算機能を汎用計算機に付与することが可能になると思われるので, このような方式の研究は, 将来ますます重要になろう.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1983-03-15
著者
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