仮想計算機システムの制御効率を向上するための方式と実験結果
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概要
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仮想計算機システム(VMS: Virual Machine System)は1台の実計算機のもとで複数個の仮想計算機を創り出し, 別個のOSが同時に走行できるものであり, 計算センタ業務とシステム開発・テストなどが共存できる利点がある. このVMSを利用することによって, 従来のようにシステム開発のためにセンタ業務を中断させねばならない問題は解消できる. しかし, このように便利な反面, 一般の利用形態ではVMSの制御プログラムVMM(Virtual Machine System)が消費するCPU時間, すなわちCPUオーバヘッドが300〜500%(システム性能が1/4〜1/6に低下する)と大きく, 計算センタ業務の処理能力に重大な影響を及ぼすことになる. このオーバヘッドは, 最近一般化しているVMSの高速化機能を使用しても100%程度までしか低減できず, いぜんとして計算センタで一般的に用いるには壁がある. そこで, この点を改善する第1ステップとして, センタ業務を実行するマシン(ホスト・マシン)とシステム開発を行うマシン(テスト・マシン)とを区別し, ホスト・マシンに対するCPUオーバヘッドを大幅に低減させる方式を検討した. これは, (1)主メモリの管理方式, (2)シミュレーション処理方式, (3)割込み処理方式, (4)CPU割当て方式, を改良することによって実現している. HITAC M-1803MB システムのもとでホスト・マシンにVOS3を走行させると, CPUオーバヘッドは従来の110%から30%まで低減できる結果が得られている.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1979-07-15
著者
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栗原 潤一
株式会社日立製作所産業システム事業部
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栗原 潤一
(株)日立製作所 中央研究所
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田口 敏夫
(株)日立製作所中央研究
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堀越 彌
(株)日立製作所中央研究
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堀越 彌
(株)日立製作所中央研究所
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