大規模回路シミュレーションに対する完全LU分解付共役残差法とその適用性評価
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概要
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回路の過渡応答解析においては,大規模な連立一次方程式をくり返し解く必要があるが,その係数行列は不規則非対称な疎行列であるため,従来直接解法が常用されてきた.しかし,対象回路の大規模化にともない,計算速度と必要メモリ量の両面で,これより大幅に高性能な解法が必要とされている.これに対し,本論文では,反復解法の一種である共役残差法と直接解法(LU分解法)を結合した方法を試みた.本方式の要点は,(1)行列の前処理として,従来行われていた不完全LU分解を用いず,過渡応答特性を利用して,過去の行列の完全LU分解結果を用いる,(2)解の修正状況パラメータの観測によって,残差が停留してしまう状態を,従来より早い時期に検出し,無駄な反復計算を削減する,という点にある.本方式を35〜3,668元行列を有する実回路10題の回路シミュレーションに適用した結果,従来直接解法の1/100〜7/100回のLU分解と,平均8〜40回の共役残差法の反復で過渡応答解が得られた.この結果と,演算量の詳しい分析より,本方式は,約6,000元以上の回路行列から,計算速度と必要メモリ量の両面で直接解法を凌駕すると推定される.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-08-15
著者
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梅谷 征雄
(株)日立製作所中央研究所
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高橋 栄
(株)日立製作所中央研究所第8部
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山本 富士男
(株)日立製作所中央研究所
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梅谷 征雄
(株)日立製作所中央研究所第7部
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高橋 栄
(株)日立製作所 システム開発研究所
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