協調アーキテクチャに基づくソフトウェア・モジュールの仕様記述モデル
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概要
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計算機システムに対する要求の複雑化によって,ソフトウェア・システムは大規模化する一方で,変化する要求に柔軟に対処することが求められている.このようなシステムには,要求の変化に合わせた部分的な拡張や変更の繰返しを可能とする構造が求められるが,システムを一括してモデル化するソフトウェア開発形態では,要求の変化に対して柔軟に対処できる構造を持つシステムの開発には十分に対応できない.本稿ではシステムの部分的な拡張や変更を前提として,他のソフトウェア・モジュール(環境)の変化に対して自己を調整しつつ動作を継続するソフトウェア・モジュールの仕様を表現する枠組みを提供することを目的とした仕様記述モデルを提案する.この仕様記述モデルでは,メッセージ授受を通じて相互にコミュニケートするエージェントを記述の基本単位とし,環境の変化への適応をエージェント間のコミュニケーションの動的な組替えによって行う. ここで,エージェントの機能の記述に階層的なメタ構造を導入し,下位の記述に対する解釈を,上位の記述から環境に合わせて変化させることにより,コミュニケーションの動的な組替えを表現する.各レベルについて1つあるいは複数のエージェントを1つのソフトウェア・モジュールと対応させることにより,モジュールの機能を,一定の環境の下での機能と,環境の変化への適応に関する機能に階層化して規定する方法を与える.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1996-06-15
著者
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本位田 真一
情報処理振興事業協会(ipa)新ソフトウェア構造化モデル研究本部 : (現)(株)東芝研究開発センターs&s研究所
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来間 啓伸
情報処理振興事業協会(IPA)新ソフトウェア構造化モデル研究本部
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来間 啓伸
株式会社日立製作所システム開発研究所:総合研究大学院大学
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大須賀 昭彦
情報処理振興事業協会(IPA)
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